若い頃には、哲学の本なんて読んだこともありません。
哲学を学んだこともありません。
でも、ビジネスをやっていると、
哲学はもはや必須なのではないか?
とまで、思います。
哲学の本は理解できないから役に立つ
哲学というのは、歴史的な天才たちが人生をかけて考えに考え抜いたものです。
だから、凡人の私たちには、なかなか理解できません。
でも、それでも
「読んでみよう!」とチャレンジしてみることが、
ビジネスにも、役立ちます。
なぜなら、私たちは、往々にして、
自分の得意なものばかりをビジネスに取り込みがちです。
が。
ビジネスとは、自分の得意、不得意を超え、
良いバランスを取らなければ、伸びるものも伸びていかないのです。
そういう意味において、
ほとんどの凡人が、「?????」となる哲学書は、
自分の不得意に踏み込む一つのきっかけになってくれます。
哲学を学んだことがないから役に立つ
哲学を学んだことのない人間にとって、
哲学とは未知の領域です。
でも、
未知だからこそ、変なバイアス(先入観)に縛られることもないのです。
素直に、わからないものは、わからない。
そう、自分の無知を受け入れられます。
※ソクラテスの「無知の知」
たとえば、もし、これが、自分が得意とする分野だったらどうでしょうか?
誰しも、自分が歩んできた道、
あるいは、自分が行ってきたビジネスに関して、
自信もプライドもあるはずです。
でも、そうした自信とプライドが、
あなたを、小さな世界に閉じ込めていきます。
哲学はビジネスっぽくないから役に立つ
哲学は、誰が見ても、全然、ビジネスっぽくありません。
- 世界の見え方がどうだとか、
- 真実はどこにあるのだとか、
- 存在とは、何なのか?とか、
どこにビジネスの要素があるのだ?
と思うでしょう。
でも、そうした事を、
- 正しく理解しようとする姿勢。
- 論理的に答えを導こうとする努力。
ここに、ビジネスと相通じるものがあります。
事実、
私たちの脳は、簡単に騙されます。
簡単にイメージに乗っ取られます。
そして、都合よく事実を捻じ曲げてしまいます。
言うまでもなく、
こうした状態は、ビジネスにおいて、大変危険なものです。
それがわかっていても!
残念ながら、私たちに「神の眼」はありません。
だからこそ、ビジネスっぽくない哲学を利用するのです。
「神の眼」はなくとも、
哲学という世界から、自分のビジネスを眺めれば、
少なくとも、今までよりは、冷静に客観視できるからです。
哲学から考えてみたビジネス事例
ここで一つ、
哲学から、よくあるビジネス事例を考えてみましょう。
たとえば、
- 自分のビジネスを立ち上げたい
- 自分のビジネスをもっと大きくしたい
そう思った時、
一番、手っ取り早く、
しかも、一番、美味しそうに見えるのが、
なんといっても、フランチャイズへの加盟でしょう。
でも、フランチャイズへの加盟には、大きな費用がかかるため悩みます。
でも、魅力的でもある。
そんな時、哲学書を読んでみます。
個体と類において、しかも、個体を類の広げられた両腕のなかに導きいれる運動において、世界の形態は完成する。 ―中略― つまり、(世界の形態は)特殊なものの普遍的なものへの堕落から生じるのではなく、むしろもっと詳しくいえば、個体の類への侵入によって生じてくるのである。 フランツ・ローゼンツヴァイク著「救済の星」より |
もちろん、哲学書に、答えがあるわけではありません。
でも、ここでの文言を
- 個体=オリジナリティある自分(自社)
- 類=フランチャイズ
と読み変えてみたらどうでしょう?
オリジナリティある自分(自社)は、フランチャイズに入れと言われている。
その時、完成する世界とはなんだろう?
オリジナリティある自分(自社)は、特殊であれば売れる。
でも、コモディティ化(付加価値のない一般的なもの)すれば、売れない。
オリジナリティが堕落するのではなく、フランチャイズに入った時点でコモディティ化する。
だったら、売れないかもしれない。
結局、完成する世界って、フランチャイズにとっての世界ってこと?かも?
という具合に、
いろんなことを考えるでしょう?
これにより、
良いことばかり並べたてられて、
すっかり舞い上がっていたフランチャイズへの加盟について、
少しは、冷静に考え、検討する余裕が生まれます。
まとめ
哲学はビジネスに役に立つどころか、必須だ
と、私は思っています。
というのは、私自身が、哲学書に助けられているからです。
ビジネス上では、実に様々なコンサルティングがあります。
でも、そのコンサルティングは本当に適切なのだろうか?
と私はいつも思ってしまうんです。
それは、自分がコンサルを行う上でも常に感じていて、
- 自分が経験した事
- 他社が経験した事
そういうことを、突き詰めたところで、
それは単なる統計でしかなく、
今のような多様性の時代に、果たして再現性があるのか?
と思うからです。
そうした時、指針となるのは、
やはり、歴史的な天才と言われる哲学者の書です。
もちろん、私の頭では浅はかな思考に終わる場合も多いんですが、
それでも、考えるだけマシではあるでしょう。